個人の方向け

　司法書士と行政書士は、個人に対して多様な法的サービスを提供しています。司法書士は主に、不動産の名義変更などの登記手続き、相続登記や成年後見の申立書類の作成、140万円以内の簡易裁判所での訴訟代理、債務整理や相続放棄手続きなど、裁判所や法務局に関わる業務を担当します。一方、行政書士は、官公署に提出する各種許認可申請（車庫証明、農地転用、建築許可など）や、遺言書作成支援、内容証明の作成、外国人在留手続きなどを取り扱います。両者とも、個人の生活に密接に関わる法的手続きを支援する専門職です。

不動産に関する業務

司法書士の不動産登記に関する業務は、不動産の権利関係を公的に記録・証明するための登記手続きを代理・代行することです。具体的には、不動産の売買や相続、贈与、抵当権の設定・抹消などに伴う所有権移転登記や権利変更登記などがあります。登記には正確な書類作成と法的知識が求められ、手続きの不備は登記の却下につながる可能性もあります。司法書士は当事者の意思確認や必要書類のチェックも行い、安全・確実な取引を支援する役割を担っています。

遺言書作成等の相続に関する業務

司法書士の遺言書作成業務は、依頼者の意思に基づいて法的に有効な遺言書を作成する支援を行うものです。遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言があり、司法書士は内容の法的チェック、文案の作成、公証人との調整、公正証書遺言作成の立会いなどを行います。遺言の内容が不明確だったり、形式に不備があると無効になる可能性があるため、専門家の関与が重要です。また、相続トラブルを未然に防ぎ、円満な遺産承継を実現するためにも、司法書士のサポートは有効です。

離婚に伴う財産分与の手続き等

離婚に伴う財産分与により不動産の名義を一方の配偶者に変更する場合、所有権移転登記が必要となります。この手続きは法的に複雑な側面があるため、司法書士が書類作成や登記申請を代理して行います。登記には、離婚協議書や財産分与契約書、戸籍謄本、不動産の権利証などが必要です。財産分与による移転は贈与とは異なり、原則として登録免許税は不動産評価額の2%となります。司法書士は手続きを円滑に進めるだけでなく、トラブルを防ぐ法的アドバイスも提供します。